冬の澄んだ空気の中、響き渡る竹を割る音。地域の手で作る、新年を迎える準備。
12月15日の午後、嘉例川駅はにぎやかな音に包まれました。駅周辺に響き渡るのは、孟宗竹を切るチェーンソーの力強い爆音と、竹を均等な長さに切りそろえ、縦に割るナタの鋭い音。冬の澄んだ空気の中、地域の皆さんが集まり、伝統の門松づくりに取り組みました。
しばらくすると、切り出された竹が駅前に運ばれ、いよいよ門松の組み立て作業が始まります。割られた竹は、地元の皆さんの手によって次々と並べられ、見事な土台の囲いへと姿を変えていきます。その様子はまさに職人技。長年の経験と知恵が生かされ、手際よく美しく仕上げられていきます。
門松の中心には、駅舎の屋根に届くほどの立派な3本組の竹が立てられます。その後、軽トラックで運ばれてきたシラス(火山灰)が竹の周りに丁寧に入れられ、しっかりと固定されていきます。力仕事ではありますが、皆で声を掛け合いながら進める作業は、どこか温かい雰囲気に包まれていました。
作業が始まって約1時間後、嘉例川駅の120年を超える木造駅舎の前に、立派な門松が完成しました。その堂々たる姿は、伝統と歴史が息づくこの駅にふさわしい風格を持っています。地域の方々の手でつくられた門松は、嘉例川に訪れる人々を迎え、新年の訪れを祝う象徴となります。
年の瀬が近づき、静かに冬の風が吹く中、嘉例川駅に立つ門松は、地域の絆と伝統を感じさせてくれます。これから訪れる新しい一年が、希望に満ちたものになりますように――そんな願いを込めた門松とともに、嘉例川駅は新年を迎える準備を整えました。
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